小1から不登校、引きこもりだったたろ(19)が、普通二輪の免許を取るために教習所へ通い始めた。
(こちらから順番にどうぞ↓)



普通二輪の実技は20人以上の生徒が集まって、一斉に指導を受け、一斉に動く集団教習。
たろは数日前からいよいよ始まる実技教習に、まるで迫り来る恐怖に耐えるような様子で辛そうだったが、
当日は自分で必要な持ち物をリュックサックに詰め、時間通りにちゃんと家を出ることができた。
教習所までの道のりは、歩いて行くと40分はかかる。
教習所専用の送迎バスも家の近くから出てはいるが、たろはバスには乗りたくないようで、お気に入りの音楽を聴きながら歩いて行くことにした。
いよいよ始まる実技の教習。
指示があった更衣室でプロテクター、胸当て、手袋、ヘルメットを装着し、ゼッケンをつけ、バイクの教習を受ける生徒たちが教習員の所へ集まった。
教習員から説明と指示を受け、それに合わせて生徒たちがバイクにまたがり、順番に走り始めた。
この時点から、たろはみんなとの違いを思い知らされた。
たろはとにかく、
指示が分からなかった。
たろは教習員から「前の人について行って」の指示に対して、
その前とはどの前なのか
誰にとっての前なのか
前の人とは教習員のことなのか生徒のことなのか、一体どの人のことを指すのかも分からなかった。
そんな色々な思考が頭に全部入ってきてしまい、何が正解かもよく分からなかったが、ここでフリーズするわけにはいかない。
たろは『こういうことだろう』と自分が解釈した動きをした。
すると、
「何でこっちに来るんだ?」
「前見て分からんかった?」
と、教習員から注意を受けた。
『何で分からんの?』と言いたそうな教習員の目つきと表情が、たろの自尊感情にぐっさりと突き刺さる。
こんな具合に、たろは教習員の意味する指示がよく分からず、何度も注意を受けることになった。
たろは『集団の中に居る』この状況に耐えるだけでも精一杯の精神を使っているのに、
そこによく分からない指示の中で混乱しながら、事故を起こさないように気をつけ、みんなの流れに合わせて運転し、
しかも400ccという重量が200kgもある巨大なバイクにまたがり、バランスを保つだけでも難しいのに、
操作が複雑で感覚が必要なアクセルやクラッチ、ギアチェンの操作を、教習員の簡単な説明だけで理解をし、運転しなければならないのだ。
しかもみんな始めてバイクに乗る人たちばかりなはずなのに、普通に乗りこなせてる人ばかり。
なんなら車体と一緒に身体を倒しながら曲がるカーブだって、余裕で曲がることができている。
そんな中で8回も転倒しているのは自分だけ。
普通の人たちは教習員の簡単な説明だけで、こんなに難しい乗り物を意図も簡単に乗りこなすことができるのか。
若者の男子生徒がブオンブオンとアクセルをふかしながら大きな音を出してるその余裕な感じと、テンパりながら必死にここに居る自分。
この違い過ぎる差。
たろの自尊感情にまたぐっさりと突き刺さる。
何とか初回の実技教習は終わったが、こんな調子で本当に教習所に通い続けることができるのか。
そしてバイクがこんなにも難しい乗り物だったなんて知らなかった。
たろは不安と絶望に打ちのめされた。

(姉はながバイクに乗る時用にとたろに買ってくれたバラエティ番組『水曜どうでしょう』の手袋😅)

(我が家の物語です。ぜひ読んで下さいね😊)

